技術を学ぶ翻訳者養成講座
【翻訳技術編】
1.1.1 文芸翻訳と産業翻訳
翻訳をカテゴリーで分けると、まず文芸翻訳があります。文芸翻訳というのは海外の有名な文芸書 (小説など) を日本語に翻訳すること、またはその逆です。
多くの人が翻訳と聞いてすぐ思い浮かべるのは文芸翻訳です。

たとえばハーレクインロマンスの翻訳。しかし、この分野は本当に激戦区で、よほど才能のある人か、その人自身が有名でないと仕事をもらえません。
市場は狭いのですが、やりたい人がたくさんいますので、翻訳雑誌にはよく文芸翻訳の特集記事などが載っています。
その記事をみて、これなら私もできるのではないかと通信教育などで翻訳者を目指す人も多いのですが、はっきり言ってこの分野で生活するのは難しいことです。
趣味であれば楽しい世界で言いと思うのですが。

他には、産業翻訳(ビジネス翻訳)があります。実際にはマニュアル、ビジネスレター、論文、特許関係などの文書の翻訳のことです。
産業翻訳は企業の活動を通じて必要になる翻訳であり、企業が発注者です。産業活動を通じて必要となるいろいろな翻訳を総合して産業翻訳といいます。

また近頃脚光を浴びているテレビの多チャンネル化に対応したメディア翻訳というものもあります。映画の字幕、番組の台詞吹き替えの翻訳といったメディアにのせるための翻訳も産業翻訳に入ります。

翻訳の需要は圧倒的に産業翻訳が多いようです。日本の翻訳の需要は、文芸翻訳が10%、産業翻訳が90%ぐらいという統計もあります。

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